修士課程の教育ポリシー
本専攻では、人間の認知、情意、運動領域に関わるさまざまな活動を人文・社会科学や理学的・工学的手法を用いて解析・モデル化し、その成果を教育訓練、製品開発、システム設計等に応用するための工学的手法の確立に結びつけるための研究を行っている。そのような研究および実践が行えるよう、認知科学、教育学、生理学、言語理論、人間科学、統計学、教育工学、生体工学、情報学等、人文・社会科学と理工学との学際領域で人間を対象とした研究や実践で必要となる共通的な素養と、それぞれの応用領域で必要となる専門的素養の両方を兼ね備えた人材を養成することを目的としている。
人材養成の目的
本課程では、人文・社会科学と理工学との学際領域で人間を対象とした研究や実践で必要となる共通的な素養と、それぞれの応用領域で必要となる専門的素養の両方を兼ね備えた人材、特に修士課程では応用研究に携われるように、実践的問題解決力や協働で問題解決する際に必要なコミュニケーション力を備えた人材を養成することを目的としている。
入学者に求める能力と適性
本専攻は、評価として次のような観点から総合的に判断し、基本的な能力と適性を持ち,本専攻の教育目標が達成できると見込まれる人材を求める。すなわち、理工系と人文・社会科学のいずれか一方の基礎専門学力、本専攻の教育課程の履修に必要な基礎学力および論理的思考力、学習意欲、柔軟性、コミュニケーション力を重視する。
- 理工系または人文・社会科学の基礎専門学力
- 事実やデータ等に基づき,論理的に思考し、表現する力
- 多様な価値観を理解し,人間や社会のさまざまな現象に関心を持ち,多面的にものごとを捉え、考えようとする態度
- グローバル社会において、多様な人達と協働で問題解決する際に身につけるべき基礎的な英語力やコミュニケーション力
- 人間を対象とした実験や教材開発、システム開発等で必要な情報技術に関する知識・技能、データ解析・効果分析等で必要な統計手法に関する知識
- 既存の学問領域にとらわれず、人間性を加味した新しい科学技術の発展に寄与する本専攻の趣旨に賛同し,未知の世界に果敢に挑む旺盛な研究意欲
入学者の選抜方針
上記の能力と適性をもつ人材を選抜するために、本専攻では、外部テストのスコアによる英語力の評価の他に、以下の試験を行う。
統計基礎、情報基礎、数学基礎に関して出題し、学力評価を行う筆答試験、小論文による論述力評価、研究能力と適性を評価する口頭試問を実施する。これらとは別に、出願時に提出した成績等と、口述試験による選抜も実施する。
学習目標
本課程では、それぞれの進路に応じて、以下の各目標項目について一定の資質・能力を身につけるとともに、自分の存在意義を高める上で必要となる複数領域についての卓越した資質・能力を身につける。
- 人文・社会科学と理工学とを結びつける上で必要となる幅広い専門基礎学力
- 本専攻の対象領域・問題に取り組む上で必要な方法論
- 上記の2つを適用して実践的に問題解決する力
- 本専攻が扱う問題群は、常に人や社会に影響を及ぼすものであることを自覚し、職業的な倫理観をもって誠実に問題解決に当たる態度
- グローバル化する社会において人間や社会に関わる仕事をするために不可欠なコミュニケーション基礎力と情報発信力
学習内容
本課程では、上記の能力を修得できるよう、次のような内容に沿って学習する。
- A) 人間に関わる実験研究を行う上で必要な研究・実験計画の立案やデータ・統計解析の方法、プログラミング等に関する科目の履修を通して、本専攻の対象領域・問題に取り組む上で必要な方法論を習得する。
- B) 心理・教育統計、認知科学、教育開発、教育工学、ヒューマンインタフェース、情報システム設計、生体工学、言語理論、日本語教育等、各専門領域の研究に携わる上で必要な専門科目の履修を通して、人文・社会科学と理工学とを結びつける上で必要となる幅広い専門基礎学力を習得する。
- C) 大学院教養・共通科目群の履修を通して、コミュニケーション基礎力と情報発信力を習得する。
- D) 修士論文研究における文献講読、具体的な研究テーマに即した研究計画の立案、遂行、成果のまとめ、発表等の活動を通して、実践的に問題解決する力や職業的な倫理観をもって誠実に問題解決に当たる態度を習得する。
修了要件
本課程を修了するためには、次の要件を満たさなければならない。
- 30単位以上を大学院授業科目から取得していること
- 本専攻で指定された授業科目において,つぎの条件を満たすこと
- 講究科目を8単位、研究関連科目を4単位以上取得していること
- 専攻専門科目を10単位以上取得していること
- 大学院教養・共通科目の科目を2単位以上取得していること
- 受講科目を本専攻の修了要件と他の特別教育研究コース等とで重複利用することは認めない
- 修士論文研究において、研究計画の設定、評価、改善といった一連の研究プロセスを履修していること
- 修士論文審査および最終審査に合格すること
授業科目
授業科目一覧のページに掲載
修士論文研究
修士論文研究では、一連の研究プロセスを経験し、具体的な研究テーマに即した研究計画の立案、遂行、成果のまとめを通して、問題設定能力、問題解決力やコミュニケーション力の向上を目指す。そのための修士論文研究の流れを下図に示す。1学期の研究科目群を履修し、2学期に学修目標の設定、研究計画発表を行い、3学期の修士論文中間発表を経て、4学期の論文提出・発表にいたる。

修士課程における修士論文研究の流れ